眼の疲労により一時的に近視のような状態になること。仮性近視、調節緊張性近視とも呼ばれる。近視に含めない考えで単に調節緊張と呼ぶ者もいる。
テレビやパーソナルコンピュータ等で目を酷使した後は強くなり、目を休めたり遠くを見ると弱くなる。点眼薬を使って調整を麻痺させないかぎり完全に無くなることはない。視力に問題が無い者を含めて万人が持っているものである。
一見妙な話だが、遠視の者は近視の者より強い偽近視を持っていることが多い。つまり、その時々による遠視度数の変化が近視の者の近視度数の変化より大きい場合が多い。遠視の者は遠くを見るのにも調整力を働かせねばならず、正視や近視の者より眼に対する負担が大きいためと思われる。
名前の通り「偽」の近視であり、上記の本物の近視とは別物である。偽近視を放置したからといって本物の近視に移行することはないし、逆に目を休ませても治るのは偽近視だけであり本物の近視が治ることはない。
偽近視と本物の近視を併発している場合は目を休ませることにより偽近視の分だけが回復する。
偽近視の現れ方は人によって違う。つまり、
遠視の場合は遠視が弱まる形で現れる
正視および極軽い遠視の場合は近視になる形で現れる
近視の場合は近視が強まる形で現れる
偽近視として通常問題にされるのは2の場合である。1の場合は自覚症状がないし、3の場合は偽近視が治っても眼鏡等が必要なことに変わりがないのであまり問題にされない。2の場合は偽近視を治すことで眼鏡等が不要になるので治療が試みられることがあるが、偽近視が治ったかどうかに関係なくしばらく経つと本物の近視になってしまうことが多い。
なぜ偽近視を治療しても近視になってしまうか。そもそも偽近視が自覚されるようになったのは上記1の状態から2の状態になったからである。つまり幼少時の遠視の状態から正視かそれに近い状態まで近視化している。自覚の無いまま近視化の過程の大半がすでに終わってしまっていると言ってもよい。一方、偽近視を治療しても本物の近視の進行には何の影響も無い。幼少期の遠視がほとんど無くなるまで順調に進んでいた近視が偽近視を治療した途端に進まなくなるには偶然に頼る他無いが、そのような偶然の起こる可能性は低い。よって偽近視を治療しても近視になってしまうことが多いのである。
偽近視については様々な考え方がある:
・偽近視は存在し、治療すべきである。
・偽近視は存在するが、治療可能なものは稀である。
・偽近視を治療しても治療を中止すれば元に戻ってしまう。一時的に治すだけのために時間・手間・費用を掛けるのは無駄である。
・偽近視が自覚されるほど遠視が弱まっていればいずれ本物の近視になるのは避けられないので、偽近視を治療しても意味がない。
・「治療可能な偽近視という近視がある」ということを殊更に強調すると近視全般が治療可能であるかのような誤解を招き、効果不明の民間療法を利することになるので良くない。
・偽近視はあるのが当然であり、「治療」するようなものではない。
・偽近視は存在しない。
【出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』】